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photo 2004年10月○日 ■ ■ ■ ■ ■

 雑誌「ターザン」の企画(11月24日発売)で、スイス、ベルナー・オーバーラント地方グリンデルワルトでの取材風景。
 グリンデルワルトはアイガーやユングフラウといった名峰の麓に位置する村だが、特にアイガーの威容が間近に迫り、アルピニストの憧れの地でもある。
 1921年に日本人の槙有垣がアイガー登頂に成功し、グリンデルワルトの村人たちの協力と祝福に感謝した彼は、1万フランを寄付し、登頂記念にミッテレギの稜線に小屋を建てた。
   その後、今井通子や長谷川恒男といった著名な日本人登山家がアイガー北壁の登頂に成功、上高地を有する長野県の安曇村とも姉妹提携を結んでおり、日本人とは繋がりの深い村である。
 写真は、そんなグリンデルワルトの歴史を、地元の観光局のオジサンから説明を受けて感心しているところ。
 グリンデルワルトとはドイツ語で「閉ざされた森」という意味。
 その名の由来通り、アイガーやシュレックホルンなどの垂直の山々が、小さな村に覆いかぶさるように迫るが、その緑の谷は長閑で美しい。




photo 2004年10月○日 ■ ■ ■ ■ ■

 近頃では世界中のどんな小さな街でも、「マクドナルド」や「ケンタッキーフライドチキン」などのアメリカ資本のファストフード店を見かけるが、このグリンデルワルトではそのような店はない。
 地元産の牛、豚、羊などの肉や野菜を使い、多種多様なチーズを使った料理が食卓を彩る。
 どうやらこの地では、スローフードの習慣が古くから定着しており、それが連綿と続いているようである。
 そのグリンデルワルトの村で、家で飼っている乳牛の乳を搾り、それで自家製のアイスクリームを作っている農家があると聞いたので、そこに取材に行ってみた。
 そこに到着すると、庭先で農家の幼い娘が飼っているヤギに餌をやり、まさに象徴的なアルプス風景。
 ところが・・・その農家の庭先にあるアイスクリーム製造小屋に足を一歩踏み入れて驚いた!
 内部はコンピューターで制御されたアイスクリーム製造機が設置してあり、とても清潔に維持、管理がなされていた。
 ヒエー! スイスって凄い!




photo 2004年10月○日 ■ ■ ■ ■ ■

 アイスクリーム製造機くらいで驚くのはまだ早い。
 スイスが永世中立国である、ということは小学校の時の社会の授業で習ったが、スイスの国土は四方を他国に囲まれており、その自衛意識は非常に強い。
 その象徴とも言えるのが、各家庭に核シェルターの設置が義務付けられているという事実だ。
 もちろん公共の施設にも核シェルターが設置してあり、我々が訪れた村のスポーツセンターにあるスケートリンクの地下室も、広大な核シェルターとなっていた。
 このシェルターには650人もの人々が一ヶ月過ごせる設備や食料品が揃っており、ご覧のように、毒ガスマスクまで備蓄されている。
 これらの設備は自然災害時にも活用され、スイス人の防衛意識の高さには驚くばかり。
 我々日本人も少しは見習わないと・・・




photo 2004年10月○日 ■ ■ ■ ■ ■

 先ほども言ったが、グリンデルワルトはアルピニストの憧れの地である。本格的な登山家じゃなくても、トレッキングのためにこの地を訪れる観光客も多く、我々が滞在した10月も、多くの日本人を含むトレッカーで賑わっていた。
 そのグリンデルワルトの村にある小さな工房で、世界的に有名なピッケル「ベント」が製造されている。
 今や山の世界では、ハンドル部がスチールやアルミ製でできたピッケルが殆どだが、この「ベント」では未だに木製のハンドルのピッケルを作り続けている。もちろんすべての工程はハンドメイドである。
 かのエドモンド・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイが、1953年にエヴェレスト初登頂の偉業を達成した時に、彼らがこの「ベント」のピッケルを使用したことから、世界的にその名を知られることになったが、今でも多くの登山家が愛用しており、注文から3ヶ月ほどで手に入れることができる。
 ボクが今回の旅で出会った二人の山岳ガイドも、やはりこの「ベント」のピッケルを愛用していた。




photo 「今月のお勧めエクイプメント」 ■ ■ ■ ■ ■

 長時間、山を歩いたり走ったりしていると、担いでいるザックの重さは確実に気になってくる。いくらザックの中に入っている水や食料、それに雨具の重量を最小限に絞り込んでも、ザック自体が重ければなにもならない。
 そこで登場するのが、今回、紹介する超軽量ザック「カリマーKIMM」シリーズである。
 「KIMM」とは「カリマー・インターナショナル・マウンテン・マラソン」の頭文字で、1968年に始まった由緒ある山岳マラソンの公式ザックである。
 ボクが今回のスイス旅行に持参したのは「KIMM」シリーズ「AR35」で、容量は35リットルもありながら、重さはたったの640グラム。もちろんハイドレーション機能もあり、その名の示す通り、山を走り回るのに最適なザックである。
 ショルダーストラップに取り付けられたバンジーコードは様々な用途に便利だし、ウエストベルトにある小型ポケットには携帯食も入れられるので、ザックを背から降ろすことなく、山での行動が自由に行える。
 ザイルやピッケルなどのハードな機材を持ち歩くことには適さないが、まさに「山を走る」ためのザックである。












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