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2010年12月18日アーカイブ

心に残る冬の香り

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 薪の準備もいよいよ大詰め。
 本来なら11月中に終えなければならない作業だが、今年は作業が遅れてしまっている。
 雪が降ればすべての薪が雪に埋もれてしまい、そこからは作業ができなくなるので、初雪が降るまでには作業を終えなければならない。
 もう今から8年ほど前の話だが、2月中旬にストックしてあった薪が底をついたことがある。
 これには理由が二つあった。
 一つ目の理由は、その年に集めた木が、松の木が多かったということ。松は高熱を発し、広葉樹と比較して早く燃えてしまう。できることなら薪は広葉樹が望ましい。
 二つ目の理由は、ストーブのガラス窓の一部が欠けていたこと。
我が家の薪ストーブは、美しく揺らめく炎を見えるように、ガラス窓が付いている。もちろん耐熱ガラスで頑丈な窓である。さらには薪ストーブには空気調整用の弁も付いている。この弁の開閉によって、空気の調整を行い。火加減を微調整するのである。が、窓ガラスが欠けていることによって、どんどん空気が送り込まれ、薪の消費量が増えたのである。
 雪に埋もれた(厳密に言うと氷に包まれた)カットしていない木はあるが、それを使うのは不可能だ。
 結局、灯油ストーブを購入して残りの冬を耐えた。
 だが翌年の秋に、次男が発した次の言葉によって、ボクは多いに発奮することになる。
 当時、小学校5年生だった次男は、学校から帰ってくるなりドアを開けながら言った。
 「父さん! 外で冬の匂いがする」
 冬の匂い? 怪訝に思いながら外に出ると、どこかの別荘で薪を燃やしていた。
 「そうか...彼にとっては薪ストーブの煙の匂いは冬の匂いなんだ...」
 我が子の心に刻み込まれた季節の香り。
 その美しい記憶をきちんと守り続けなければならない。
 確かに作業は面倒だ。着火だってスイッチひとつという訳には行かない。だがそこから得る暖かさは、記憶の奥底にずっと残る暖かさなのだ。
 「父さん! 冬の匂いがする」
 薪割り作業中にこだまする息子の声。
 思わず頬を緩め、再び斧を振り上げるのだ。




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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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