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2014年2月アーカイブ

読んで走るか、走って読むか

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スクリーンショット 2014-02-21 9.02.33.png

 先週からヨミウリオンライの「RUN」のコーナーで連載を開始した。

 連載タイトルは「走るを読む

 走ることについて書かれた本〜小説、エッセイ、ハウツー本〜を読み、その書評というか、感想文を書くという連載だ。

 記念すべき第一回目は、なるべく有名な作家の作品を取り上げようと言うことで、村上春樹氏が書いた「走ることについて語るときに僕の語ること」を取り上げた。

 このタイトルは村上春樹氏が敬愛する作家、レイモンド・カーバーの短篇集のタイトル「What We Talk About When We Talk About Love」をもじったものである。意訳すれば「愛について語る時に我々が語ること」というところか。

 詳しくは連載を読んで頂きたいのだが、改めてこれから書評していく予定の作品リスト見ていると、実に多くの作家が「走る」ことについて書いている。その作家自身が走るのかどうか別にして、この「走る」という単純な行為について、多くのことが「語られている」のである。

 単純にして明快。が、だからこそ崇高な哲学が生まれる。まあそんな大袈裟なことを書くつもりはないが、ランナーの一人として、それらを紹介していきたいと思う。

 時々、覗いて見てくれれば嬉しい。







本当の敵は誰なんだ?

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永遠のゼロ.jpg

 今現在、劇場公開されている百田尚樹著「永遠のゼロ」を、先日、読んだ。その後、思うところがあり、オリバー・ストーン監督による「プラトゥーン」、それにブライアン・デ・パルマ監督の「カジュアリティーズ」を立て続けて観た。「カジュアリティーズ」は初めて鑑賞したが、「プラトゥーン」の方は数え切れないくらい何度も鑑賞している。

 太平洋戦争を描いたひとつの小説と、ベトナム戦争を描いた時代背景の違うなんの脈略もない2本の洋画に思えるが、実は共通する特徴がいくつかある。それはこの3つの物語が戦争を題材としながらも、敵、味方に分かれたはっきりとした構図で描かれていない、ということである。

 「永遠のゼロ」は太平洋戦争に於ける「特攻隊」という存在にスポットを当てているので、対戦するのは日米軍である。あとの二本の映画は舞台がベトナムなので、対戦するのは北ベトナム軍と米軍だ。しかしそのような敵味方に別れた戦闘シーンはほとんど描かれず(「永遠のゼロ」の映画は観ていないので、そのあたりはなんとも言えないのだが)、それより主人公の心の葛藤が深く描かれている。

カジュアリティーズ.jpeg

 それに3つの作品に共通する「敵」とは、実際に戦っている「敵」ではなく、ある時は同じ軍や同じ部隊の仲間であり、より深く掘り下げて考えて行くと、それは人間の「心の中にある闇」である。

 その「心の中の闇という敵」に、真正面から正義の声を発する主人公に対し、国、メディア、上官、仲間が口を塞ごうとする。あるいはその「正義の声」を、「非国民」「裏切り者」として糾弾する。このような図式も、この3つの物語に共通する特徴である。

 戦争という名の狂気の渦の中で、人々が良心を持ち続けることが如何に難しいことか。その中で勇気を持って声を挙げることが、どれだけ崇高な行為なのか。

 それにしても、このような物語に接する度にいつも思う。

 年老いた愚かな政治家や軍部の上層部の老害の為に、多くの純真な若者の尊い命が儚く散っていく。それはどの時代も変わることはない。戦争の最前線に出ていき、命を賭けて戦うのは20歳前後の青年であり、そういうまだ子どもと言えるような(発展途上国では実際に少年兵士も数多く存在する)若者たちが、地獄のような状況の中で生死を彷徨っている。

 そしてそういう若者たちを過酷な戦地に送り出すのは、権力、私利私欲に腐心し、腐った精神をその醜く出っ張った腹に貯めこむ、年老いた政治家たちなのである。

 今も世界のどこかで、姿形を変えて、この3つの物語のような悲劇が行われている。信心、愛国心、民族愛という名に美化された、個人の欲望の為に。

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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