モンスターカレンダー

« 2011年1月 »
12345678910111213141516171819202122232425262728293031

2011年1月アーカイブ

おいしい秘密

| コメント(0)
R0015613.JPG
 「被写体を記録するのか、あるいは記憶するのか」
 人差し指でシャッターボタンを圧す瞬間、我々、凡人アマチュア・カメラマンは、それを意識することは少ない。
 ところがプロの写真家は違う。

 神戸の北に位置する三田市。ここに知る人ぞ知る、有名なスィーツの店、「es koyama」がある。そのパティシエである小山ススム氏によると、お菓子のおいしさは「空気」の分量に大きく左右されると言う。それを聞いた写真家、テラウチマサト氏は、「それじゃそのお菓子の中の「空気」を表現しよう」と思い立ち、現在、「おいしい秘密」と銘打ち、スイィーツをマクロ撮影した写真展を京橋で展開している。
 先日、その写真展に赴き、テラウチ氏と話す機会にも恵まれたが、その際にテラウチ氏が言った言葉が、冒頭の「記録するか、記憶するか」という選択肢である。
 つまり極端な例を挙げると、戦場カメラマンとして戦地の様子を被写体とする場合、これは「記録」することがもっとも大切だと思われる。自分自身の主観を極力排し、そこで繰り広げられている現状を、忠実に世に知らしめることが、そこでシャッターを切る者の使命である。
 だが例えば著名人や俳優などの人物を撮影する場合、写真家が自分自身の「記憶」というフィルターを用い、その人の持つ魅力を最大限に引き出すことが求められる。
 テラウチ氏の言う「記憶と記録の違い」が、ボクとの解釈とは些か違うのかもしれないが、今回の写真展に於いてテラウチ氏は、極力、「記録」に徹してシャッターを切ったと言う。
 ところが展示してある写真を見る限り、やはりそれはテラウチ氏のみが表現可能な作品として仕上がっている。
 幾重にも重ねられたパイ生地や、溢れ出る美味しそうなクリームが被写体でありながら、それは大自然の中の巨大な岩や木の樹皮にも見えるし、幾何学的な文様にも見える。それにまたプリントが素晴らしい。
 マエストロがシャッターを切ると、スィーツの世界もこのような広がりを見せるモノなのか...
 京橋、72ギャラリーで2月13日まで開催されている「おいしい秘密」
 必見の写真展である。




暖かい夜 銀ブラ

| コメント(0)
銀座.jpg 昨夜は夕暮れ時の銀座を歩いた。
 京橋で知人の写真家の展示会が開催されており(それは後日、報告予定)、その後、アップルストアへ。お目当ては噂のマックブックエアを手にすること。
 昨年末、4年間、愛用したノートブックが壊れ、次のPCを探しているのだが、第一候補がマックブックエアだ。オンラインでそのスペックは調査済みだが、実際の使い勝手を試したいと思ったのだ。
 で、アップルストアに入ろうとふと見上げたら、電飾看板に気温の表示が。細かくて見づらいかもしれないが、摂氏8度。
 ここ数日、河口湖の日中の最高気温は暖かい日で6度前後、寒い日は氷点下前後である。今年は東京も寒いと聞いていたが、それでも河口湖の日中の最高気温より、東京の夜は暖かいのだ。
 河口湖では歩いていても、この時期は早足になるが、昨日の夜はのんびりと銀座を歩いたのであった。
 えっ? で、マックブックエアは買ったのかって? いや、使い勝手の良さは十分に確認したが、未だ検討中である。




厳寒だからこその遊び

| コメント(0)
RIMG0396.JPG
 昨シーズン、近所でアイスクライミングが楽しめる場所があるとの噂を耳にして、下見に行ったところ、初心者が練習をするのに格好のゲレンデが三つ峠にあり、昨シーズンは何度か通って遊んだ。
 これまでは近くても八ヶ岳まで行っていたので、自宅から僅か30分のところにこういう遊び場があることは、とても嬉しい驚きである。

RIMG0365.JPG
 アウトドアの遊びのすべてに共通して言えることだが、自分の持っている道具のスペックを試すとき、実際のフィールドで試した後、さらに「次の機会にはこういう使い方をしよう、あういう使い方も試してみたい」とイマジネーションが膨らむ。が、それが頻繁に行けない場所にあると、なかなか豊富なフィールドテストが出来ない。写真でボクが手にしているのは「V字スレッド(通称アバラコフ)」を簡単に作られる道具だが、こういう道具を試す機会なんて、そう多くはないが、近場にゲレンデがあると、それも心ゆくまで試すことが可能だ。

RIMG0427.JPG
 その他、クライミングはアイスに限らず、リード・クライミングの練習がなにより大切だが、ここのゲレンデはその練習にも最適だ。
 ということで、これから氷が融けるまで、週に一度は通うことになりそうなのだ。





同じ寒さでも・・・

| コメント(0)
 最低気温が氷点下15度の日が5日間続くと、河口湖は全面結氷すると言われている。
 今年の冬は全国的に確かに寒いが、河口湖地方に限って言えば、これまでのところ、最低でも氷点下10度を少し下回るくらいで、全面結氷になるまでの寒さではない。
 もうひつ、今年の冬の大きな特徴として、雪が降らないことだ。
 いつもの年ならクリスマス前後に積もるような初雪が降り、その後も5回ほどはたっぷりと積もるような雪が降るのだが。今シーズンは舞うような雪が降ったくらいで、積もるほどではない。
 平年と比較して少し暖かい冬が、たっぷりとした雪をもたらすが、今年は寒さもそこそこで雪も少ない。
 写真は先日、長野県の駒ヶ根に行った帰りに諏訪湖で撮影したもの。ご覧のように諏訪湖の湖面はうっすらと凍っている。これは諏訪湖が河口湖と比べて気温が低いことが理由ではなく、水深が浅いことに起因していると思われる。
 諏訪湖の水深は平均4メートル、もっとも深いところでも7メートルほどだ。。河口湖は最深部では15メートルほどの深さになる。富士五湖でもっとも浅い精進湖は毎年のように凍るので、やはり結氷と水深は深く関係しているようである。
 だが河口湖と同じ水深の山中湖は湖面標高がもっとも高いので、スケートで滑ることができるほど凍るし、富士五湖と一口に言っても、その環境はそれぞれに違う顔を見せるのだ。
 だがいずれにしても、東京から僅か90分ほどの近さの距離のせいか、冬に東京からこの地にやってくる人たちは、あまりの寒さに驚くのである。
IMGP6054.JPG





類は友を呼ぶ

| コメント(0)
 世の中には様々なビジネスがあるが、そのビジネスを経営している人は、大きく2タイプに分けられると思う。
 些か端的な表現になってしまうが、「儲かるからしている」というタイプと「好きだからしている」というタイプだ。
 で、ボク個人としては、後者の理由でビジネスと取り組んでいる人との会話が俄然と楽しいのだが、先日も後者の典型的な人を紹介してもらった。
 長野県駒ヶ根市。ここに「ファイヤーサイド」という会社があり、主に「バーモント・キャスティングス」というブランドの薪ストーブを取り扱っている。その会社の代表、ポール・キャスナー氏は元々、アメリカ東部ボストンの出身だったが、日本の尺八の音色に惹かれ、遠く日本に来て駒ヶ根に住み着いた。で、日本の厳しい冬の寒さを経験し、薪ストーブについての知識を磨き、その結果、現在の会社を興し、すでに25年の歳月が流れた。
IMGP6041.JPG
 先日、キャスナー氏に会いに、駒ヶ根のショールームに伺ったが、ショールームには薪ストーブの他にも、氏が世界各国から買い付けた様々な興味深い商品が溢れ、それらの商品説明にも熱が入る。その熱は「これを買って欲しい」という熱ではなく「この商品がいかに素晴らしいか」ということを伝える熱である。自分自身が惚れ込んだモノでなければ、決して扱わないという頑固さも感じられる。
 古いダッチオーヴン、一枚鉄を延ばして作られたフライパン、薪を掴むトング等々、すべてがこだわりの商品である。
 話に夢中になり、気がついたらあっという間に3時間が経過していた。
 次回は河口湖に来ていただき、話の続きをしよう、ということで我々は再会を約束したが、後ろ髪引かれる思いで、駒ヶ根をあとにしたのであった。

    キャスナー氏デザインのサインプレート。ボク愛用のカヌー「オールドタウン」のデザイン
IMGP6044.JPG




好きこそモノの上手なれ

| コメント(0)
IMGP6008.JPG
 「やまなし産業支援機構」という社団法人の団体があり、その団体では、県内で新たに事業を起こす事業主に対して支援を行っている。その支援内容は、新たに事業を起こす上で、専門家のアドバイスを受ける必要がある場合、その経費を負担してくれるというモノ。
 新たに忍野村でキャンピングカーの販売や、アメリカからアウトドア関連の商品の輸入販売を始めるという会社があり、この度、その会社の依頼によって、専門家としてコンサルティングを行うことになった。
 まあコンサルティングと言っても、ボクがこれまで関わってきたアウトドア・ライフの実態を詳しく説明し、それと同時に、マスメディアに関わる者として、広告や露出の仕方などのノウハウを指導するというものだ。
 このコンサルティングは合計3回を予定しており、まず第一回目は1980年代から現在までの日本に於けるアウトドアの実態を、自分自身の経験を交えて語ってきた。
 これまでに様々なところで講演会を行ってきたが、直接、自分たちの事業の成否に影響を与える内容だけに、皆、真剣そのもの。講演の後の質疑応答も、熱が入ったものとなった。
 その新たな事業を始める会社は、これまでにログハウス等の建築施工などをしており、講演はそのショールームで行われたが、取り扱い事業がボクのライフスタイルに密着するモノばかりなので、今後のコンサルティングを、ボク自身も楽しみにしているのだ。




時間を贈る

| コメント(2)
 昨年の秋、手作りのアルコール・ストーブを年上の友人に贈った。公私共にいつもお世話になっている方で、娘の結婚祝いをいただいたお返しに、シングル・ユースのコッフェルをプレゼントをしたのだが、ついでに自作のアルコール・ストーブも一緒に入れておいたのだ。
 そのついでのようなプレゼントにとても喜んでいただき、彼は自分でも手作りストーブの製作を始めた。もともと凝り性の性格で、なにかに夢中になると、ネットや雑誌、書籍をひっくり返して、ありとあらゆる角度から調べ尽くす。職業が雑誌の編集、執筆ということもあり、いい意味において職業病だと思われるが、その徹底ぶりにはいつも感心させられる。ボクより9歳年上で今年61歳になるが、その探究心はまったく衰えることはない。
 で、昨年のクリスマスに、ボクや妻用に4タイプほどの自家製アルコール・ストーブを贈ってくれたのだが、ボクが彼に贈ったストーブより遥かに完成度が高く、遥かに緻密な仕上がりである。しかも専用の五徳まで付いている。
R0015275.JPG
 季節柄、まだ点火式、並びにフィールドテストを行っていないのだが、彼はすでに自作品の検証を済ませたみたいで、添えられた手紙にはアルコールの分量、燃焼時間、火力などが事細かに記されていた。
 人に贈り物をする。
 そのものの価値ではなく、そのものがその人にどのような時間や体験をもたらすのか? それが楽しみでプレゼントを選ぶことが多い。今回のプレゼントもその最たるモノで、アルコール・ストーブの製作費はアルミ缶を再利用しているのでほぼタダである。
 だがそこから楽しい時間が生まれたようである。
 手紙には「文字通り、火がつきました」とあった。
 幾つになっても新鮮な驚きを忘れない、彼の瑞々しい感性に敬意を表すると共に、自分自身もそのように年齢を重ねて行きたい、と強く感じたクリスマス・プレゼントである。




厳しさを美しさに変えて

| コメント(0)
 幼い頃はお年玉欲しさも手伝って、無邪気に「新年明けましておめでとうございます」と誰彼構わずに挨拶していたが、年齢を重ねるにつれ、相手方や自分自身が喪中であるケースもあり、あるいは昨今の複雑な社会傾向を垣間見ると、年が明けたからと言って、単純には「おめでとうございます」とは言えなくなった。
 だが年が変わる節目として、新たに「今年もよろしくお願いします」とは堂々と言える。
R0015385.JPG
  
 これら3枚の写真は昨年と同様に、河口湖の北側、「日本の渚百選」に選ばれている「留守が岩浜」からの眺めだ。
R0015420.JPG
 今年も自宅から走って現場に行き、初日の出の瞬間を待った。
 ここからは朝陽が当たって紅に染まる富士山の景色、その富士の裾野から昇る初日の出が拝める。そのことに観光業者も目を付けたようで、ここ数年はご覧のように、早朝から遊覧船も出る。
R0015424.JPG
 まるで年賀はがきのデザインのような風景に巡り会えるのだが、気温は氷点下を下回っているので、手袋を外してカメラのシャッターを切っていると、手の感覚がなくなるほど寒さが厳しい。
 昨今、世の中の情勢は厳しさが増している気がする。それとも年齢を重ねると、厳しさばかりが目に付くのか。
 いずれにしてもこの写真を撮影した瞬間のように、いくら厳しさを自分が経験しようと、その経験を咀嚼、昇華させて、美しいメッセージに変えて行きたいと思う。
 2011年もよろしくお願いします。




MT42BlogBetaInner

    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

月別 アーカイブ

    問い合わせ greatescape
v

    木村東吉「メールマガジン」登録

    meidive
TOYOTA
sanyo-shokai
MovableType(MT)テンプレート 無料(フリー)
Powered by Movable Type 4.261

最近のコメント