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時間を贈る

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 昨年の秋、手作りのアルコール・ストーブを年上の友人に贈った。公私共にいつもお世話になっている方で、娘の結婚祝いをいただいたお返しに、シングル・ユースのコッフェルをプレゼントをしたのだが、ついでに自作のアルコール・ストーブも一緒に入れておいたのだ。
 そのついでのようなプレゼントにとても喜んでいただき、彼は自分でも手作りストーブの製作を始めた。もともと凝り性の性格で、なにかに夢中になると、ネットや雑誌、書籍をひっくり返して、ありとあらゆる角度から調べ尽くす。職業が雑誌の編集、執筆ということもあり、いい意味において職業病だと思われるが、その徹底ぶりにはいつも感心させられる。ボクより9歳年上で今年61歳になるが、その探究心はまったく衰えることはない。
 で、昨年のクリスマスに、ボクや妻用に4タイプほどの自家製アルコール・ストーブを贈ってくれたのだが、ボクが彼に贈ったストーブより遥かに完成度が高く、遥かに緻密な仕上がりである。しかも専用の五徳まで付いている。
R0015275.JPG
 季節柄、まだ点火式、並びにフィールドテストを行っていないのだが、彼はすでに自作品の検証を済ませたみたいで、添えられた手紙にはアルコールの分量、燃焼時間、火力などが事細かに記されていた。
 人に贈り物をする。
 そのものの価値ではなく、そのものがその人にどのような時間や体験をもたらすのか? それが楽しみでプレゼントを選ぶことが多い。今回のプレゼントもその最たるモノで、アルコール・ストーブの製作費はアルミ缶を再利用しているのでほぼタダである。
 だがそこから楽しい時間が生まれたようである。
 手紙には「文字通り、火がつきました」とあった。
 幾つになっても新鮮な驚きを忘れない、彼の瑞々しい感性に敬意を表すると共に、自分自身もそのように年齢を重ねて行きたい、と強く感じたクリスマス・プレゼントである。

コメント(2)

本日にいらしゃいましてありがとうございました。東吉さんと考え方似合う部分が多く一日お話しても終わらないでしょう。
このアルコールストーブはかっこいね。ビール缶と思わないね。お邪魔したときに見せてください。
駒ヶ根の登山する予定でしたら連絡をください。ポール

コメント有難うございます。あっと言う間に楽しい時間が過ぎました。また近いうちにお目にかかれることを楽しみにしております

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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