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日本再発見2015 その3

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 津で美味しい中華と爽やかなレインボー・ランニングを満喫した後、今回の旅で初めてのキャンプ泊をする為に、伊勢志摩の「志摩オートキャンプ場」に向かった。本当はこの「志摩オートキャンプ場」に長期滞在して、「熊野古道」をあちらこちら歩いてみたいと考えていたが、キャンプ場の方にそのように告げると「ウチは長期滞在して貰えれば有難いが、熊野古道を歩くのなら、もっと南の尾鷲市にある孫太郎キャンプ場などを基点とした方が便利」との情報を頂き、その有難い情報に従って、「志摩オートキャンプ場」は一泊だけにして、次の日は「孫太郎オートキャンプ場」に移動することにした。自分自身もキャンプ場をオーガナイズしているが、こういう地元の有用な情報を発する姿勢は高く評価したい。

 「熊野古道」に拘りがなければ、「志摩オートキャンプ場」は長期滞在したいと思わせる素敵なキャンプ場だった。海には面していないが、キャンプ場のプライベート・ロードを降りきると、そこには「御座白浜海水浴場」が静かに佇み、あの「金比羅山」への登山道も隣接している。暖かい季節には、多くの海水浴客で賑わうことだろう。

 我々も早朝から「御座白浜海水浴場」の浜を散歩して、金比羅山の頂上まで登ってみた。

 途中、年配の登山者とすれ違うと「今日は天気がいいけど、残念ながら富士山までは見えなかった」と挨拶代わりに言われた。「こんなところから富士山が見えるのですか?」と驚いて訊ねると「ホントに、ホントに年に数回、空気が澄んでいる時にねえ・・・」とその年配の女性は答える。

 「実は我々は、その富士山の麓から来たんです。まさかこんなところまで来て、富士山が見えると聞いて、ちょっと驚きました」と答えると、「じゃあ富士山はいつも見慣れているのね」と笑顔で下山して行った。

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 金比羅山の頂上に着くと、確かに富士山の姿はどこにも見当たらないが、英虞湾や遠く熊野灘の絶景が眼下に拡がっている。

 「秋凪(な)ぎの、英虞の海庭(うなにわ)漕ぎ廻(た)みて、いにしへいまの時もわかなく」と、近代日本の歌人である吉野秀雄が詠んだ歌碑があった。

 人は美しく雄大な景色を目の前にする時、かつて古人たちが同じ情景に見惚れたことに思いを馳せ、悠久なる時空の中にしばし己の存在を漂わせる。吉野がここを訪れ、いにしえの歌を詠んだのはいつのことなのか・・・しばし目の前に拡がる景色と時間を交錯させる。

 確かにここはまだ、熊野古道には遠い。が、ここに一晩泊まった価値は充分にあった。

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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