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「ワラーチ・プロジェクト」18日目。

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 これまでの自分の人生で、これだけ毎日のように人の優しさ、善意に触れたことがあっただろうか。

 神戸を、東北を、日本を元気づける為にこの「ワラーチ・プロジェクト」を思い立ち、10月30日に河口湖をスタートしたが、その後の日々は、逆にすべての人に励まされることになった。

 数年ぶり、30年ぶり、40年ぶりの友との再会。新たに出会う人々とのラン。彼、彼女らに元気を貰い、走ることの楽しさ、そこから得られる多くのギフトを噛み締めた。

 スタート時にスピーチをお願いした友は言った。

 「これから18日間、もちろん辛い思いもするでしょう。が、きっと彼らはそれ以上の美しい宝を手にする」と。

 その友の言葉どおりの結果となった。

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 「ワラーチ・プロジェクト」最終日、昨日のゴール地点である尼崎の「今福公園」に着くと、千葉から駆けつけたご夫婦が、ゴールを一緒に目指すと元気に現れた。昨日、解禁になったボジョレー・ヌーボーと、彼らが愛用しているワラーチ用の足袋のプレゼント。で、スタート直前、ゴールで出迎えてくれるはずの我が家族も現れた。

 朝の天気予報では、ここ数日続いた厳しい寒さも収まり、昨日より気温が5度ほど高くなると言っていたが、その予報通りの陽気で、雲ひとつない青空の下、歩道の広い国道2号線を西へと向かう。

 幼い頃に釣りをした武庫川、中学生の頃にハイキングに行った六甲の山々を眺め、じっくりと最終日のランを踏みしめる。

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 西宮を過ぎた辺りで、昨日から一緒に走っているキョーミが言う。

 「この辺りは、阪神淡路大震災の後、すべての家がなかったんです」

 今では美しい町並みとなり、震災の爪あとは一切見られない。

 人間のチカラってスゴイなあ・・・と走りながらつくづく思う。きっといつの日か東北もまた、この神戸のように復活するのだろう。

 たしかに自然の脅威は人々の生活をあっと言う間に破壊する。だが人々はそれを乗り越えるチカラを持っている。一人では無理だが、手を携えてチカラを合わせれば、きっと乗り越えることができる。そのことをボクはこのプロジェクト通じて実感した。

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 賑やかな三宮駅から南に向かい、神戸市役所の南側にある公園に向かうと、クラッカーが鳴り響き、鮮やかな色のゴールテープが待ち構えていた。

 多くの人たちの出迎えの中、河口湖で預かった二本のバトンを、

[BERT]の主催者であり、伝説のバイクライダーである片山敬済氏の手に、戻したのであった。そして明日には[BERT]のメンバーによって、そのバトンはバイクに乗って東北に運ばれる。

 我々のプロジェクトはこうしてひとつの区切りを迎えた。もちろん決して終わらない。いやむしろ始まったばかりだ。

 試走を含め、約500キロの距離を走り終えたワラーチは、片山氏にしっかりと受け取ってもらった。紐も切れず、連日のランに耐えたワラーチに皆、驚きの表情を浮かべていた。

 河口湖に戻ったら早速、新たなワラーチを作ろう。

 そしてまた、無限の可能性に向かって走り始めるのだ。

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    木村東吉
    1958 年大阪生まれ。
    20代は雑誌「ポパイ」の顔としてファッションモデルとして活躍したが、その後、30 代に入りアウトドア関連の著作を多数執筆。
    現在は河口湖に拠点を置き、執筆、取材、キャンプ教室の指導、講演など、幅広く活動している。
    また各企業の広告などにも数多く出演しており、そのアドバイザーも務めている。

    詳しいプロフィールはこちら

    木村東吉公式サイト「グレートアウトドア」

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